https://kakechum.hatenablog.com/

kakeChum

カケチュム 「○○×(かける)チュム춤」 管理人Narimorがチュムと日常の出来事を掛け合わせて綴るブログです。 kakeChum. 「○○ × (multiplied by) Chum(dance)」. This is a blog written by the concierge Narimor by multiplying Chum and daily life.

散歩した背骨

f:id:kakechum:20211127123404j:image

目が現れた。矢印も現れた。その続きは三枚おろしにされた中骨だけの魚の胴体が続いてくるかのようだ。

体の構成物諸々をそぎ落とし胴体を貫通している長い骨だけになると、きっと気持ちいいだろうなと思う。誰かの食事のためのお皿の上の骨ではなく、風に吹かれるまま揺れ動くそんな体の中の長い骨。

散歩の途中、年輪を重ねたイチョウの木々がざわめく公園の隅にカラフルな遊具に押し出され存在感なく佇んでいる鉄棒にぶら下がってみた。鉄棒を握りながらほんの少しジャンプをして腕をピンと伸ばすと足元ブラブラ、空から見下ろすイチョウの葉っぱに少しだけ近くなる風景に、置いてけぼりだったの童心がむくっのぞかせる。

ちょっと怖かったがのぞかせた童心にまかせそのまま前へ上半身を下げると鉄棒を支点に上半身と下半身を折り曲がる。砂埃が舞う地面へと風景は一変する。ちょうど骨盤に鉄棒が食い込みとまっている。そのまま脱力してみる。全身ダラーン。腕も地面へダラーン。骨盤に食い込んだ鉄棒が私の全体重を痛みとともに認識させてくれる。一気に頭へ上った血で顔面は熱い。焦りだした心拍を落ち着かせそのままの状態で意識を頭から体へ向けてみる。どこからか微音が聞こえる。体の中からだ。背骨だ。背骨にぴったり貼りついていたものが重力で地面へと引っぱられ剝がれていく音だ。

息を吐けば吐くほど柳の枝が揺れるようにじわじわとその範囲を広げていく微音たち。耳を澄ましてみる。体の中を響かせている。一枚一枚何かが剥がれていく。

イチョウの葉っぱがひらひら舞い落ちる背骨と散歩のひと時。

散歩したのは背骨も知れない。